THTシリーズは、生物サンプルから発せられる微弱な蛍光を低倍率で且つ極めて明るく観察できるマクロ蛍光顕微鏡です。
膜電位感受性色素を用いた膜電位イメージングのほか、GCaMP, FRETなど各種蛍光タンパク質を用いた広視野イメージング用として世界中の研究室で使用されおり、これまでよりもS/N比の良い画像データが得られると大好評です。
2本の大口径対物レンズと特注大型蛍光フィルターを組み合わせた非常にシンプルな光路で、わずかな蛍光量もロスなく検出できる設計になっています。2波長/3波長の同時計測セットアップや、実験条件・スペースに合わせたスタンドの変更/改造、その他ご要望に応じた特注品にも柔軟に対応可能です。
明るい低倍率を実現:微弱な蛍光を広視野で撮影
レンズの組み合わせによって約0.19x~6.3xの総合倍率となります(実際の撮影範囲は使用するカメラのセンサーサイズによって変わります)。
大口径・高開口数レンズを使用していますので、極めて明るい撮影が可能です。これまで検出が困難であった信号がより容易に検出できるようになったり、これまで撮影できたサンプルでも、より高いS/N比で撮影できる可能性があります。
倍率 | レンズ口径 | 作動距離 |
---|---|---|
0.3x | 50mm | 140mm |
0.63x | 43mm | 67mm |
1x | 60mm | 62mm |
1.6x | 59mm | 31mm |
2x | 57mm | 20mm |
5x | 39mm | 19mm |
結像レンズ | 倍率 | マウント |
---|---|---|
50mm | 0.63x | C |
85mm/1.4 | 1.0x | EF/T/C |
135mm/2.0 | 1.6x | EF/T/C |
シンプルな構造:カメラ撮影に特化
目視観察機能はありません。あくまでもより高いS/N比でのカメラ撮影にこだわった設計です。
光軸部の傾け・回転が可能:撮影サンプルを傾ける必要無し
光軸部を左右360度回転させることのできるスタンドも選択可能です。光軸部を傾ければ、動物サンプルを傾けなくても脳の側頭葉全体を撮影するようなことも可能です。
蛍光フィルターの取り外しが容易
蛍光フィルターは着脱式のフィルターキューブに保持されています。フィルターキューブの付け替えで蛍光フィルターを交換することができます。
高い拡張性:蛍光分岐装置としても機能
通常はTHTシリーズ本体の左ポートに励起用光源を接続して同軸落射照明装置として使用します。
その他、2波長蛍光の分岐装置として使用することも可能です。この場合、左ポートに上ポートと同じレンズとカメラを接続し、2カメラを用いた2波長蛍光同時計測となります。
倒立型も可能
倒立型のタンデムレンズマクロ蛍光顕微鏡を試作しました。従来のマクロ蛍光顕微鏡を倒立型にすることで、試料ステージ上の空間が自由になるので、マニピュレータの設置や電極操作の自由度が増すものと期待しています。正立型の蛍光顕微鏡との併用も可能です。実験目的に合わせた顕微鏡ベースや試料ステージは別途ご相談下さい。
応用例
- 膜電位感受性色素を用いた膜電位イメージング
- カルシウムイメージング
- フラビン蛋白やヘモグロビン由来の内因性蛍光信号イメージング
- FRET, GCaMP, VSFPなど各種蛍光タンパク質を用いたイメージング
- デュアルカメラを用いたレシオイメージング
同軸落射照明・1波長計測用
サイド照明・2波長計測用
同軸落射照明/サイド照明・2波長計測用、正立
同軸落射照明/サイド照明・2波長計測用、90°回転
同軸落射照明・1波長計測
ブレインビジョン製XYステージ付属
スイングアームスタンド
エクステンションアーム
オリンパスBX51WIベース
ドイツLuigs&Neumann社製手動XUテーブル付属
倒立・2波長計測
ランゲンドルフ灌流心 撮影用水平タイプ
In Vivoサンプル撮影用 高剛性アーム
品名 | マクロ蛍光顕微鏡 THTシリーズ |
---|---|
光学系 | タンデムレンズ光学系、カメラ専用 |
焦準装置 | 手動粗微動フォーカスドライブ、または 電動粗微動フォーカスドライブ(ダイヤル式コントローラ) |
顕微鏡キャリア | 対物レボルバ(M65ポートx2)、または光軸傾斜マウント |
フィルターキューブ | 引出し式 上面および側面に50mm径フィルターを各1枚装着可能 2軸あおり調整機構付きダイクロイックミラーマウント |
照明方式 | 同軸落射照明、または斜光照明 |
レンズポート | 上:1、側面:1、下面:1 |
対物レンズ(標準) | PLAN 0.3x PLAN APO 0.63x PLAN APO 1x PLAN APO 1.6x PLAN APO 2x PLAN APO 5x |
結像レンズ | PLAN APO 0.63x PLAN APO 1x PLAN APO 1.6x PLAN APO 2x 135mm/2.0レンズ(絞りおよび焦点調整機能付) 85mm/1.4レンズ(絞りおよび焦点調整機能付) 50mm/0.95レンズ(絞りおよび焦点調整機能付) |
試料ステージ | オプション |
N256カメラとTHTシリーズ おおよその倍率と視野サイズ
対物側 | 結像側(カメラ側) | |||||
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0.63xレンズ | 1xレンズ | 1.6xレンズ | 50mmレンズ (∞設定) |
85mmレンズ (∞設定) |
135mmレンズ (∞設定) |
|
0.3xレンズ (WD:141mm) |
0.48x (36.6mmx36.6mm) |
0.3x (58.6mmx58.6mm) |
0.19x (92.6mmx92.6mm) |
– | – | – |
0.63xレンズ (WD:67mm) |
1x (17.6mmx17.6mm) |
0.63x (27.9mmx27.9mm) |
0.4x (44mmx44mm) |
0.4x (44mmx44mm) |
0.69x (25.5mmx25.5mm) |
1.27x (13.9mmx13.9mm) |
1xレンズ (WD:61.5mm) |
1.6x (11mmx11mm) |
1x (17.6mmx17.6mm) |
0.63x (27.9mmx27.9mm) |
0.64x (27.5mmx27.5mm) |
– | 2x (8.8mmx8.8mm) |
1.6xレンズ (WD:30.5mm) |
2.6x (6.7mmx6.7mm) |
1.6x (11mmx11mm) |
1x (17.6mmx17.6mm) |
1.02x (17.6mmx17.6mm) |
– | – |
2xレンズ (WD:20.1mm) |
3.2x (5.5mmx5.5mm) |
2x (8.8mmx8.8mm) |
1.26x (13.9mmx13.9mm) |
1.28x (13.7mmx13.7mm) |
2.23x (7.9mmx7.9mm) |
4x (4.4mmx4.4mm) |
5xレンズ (WD:19mm) |
6.3x (2.8mmx2.8mm) |
4x (4.4mmx4.4mm) |
2.5x (7mmx7mm) |
– | 4.48x (3.9mmx3.9mm) |
– |
GCaMPのイメージング用途で使用されています。
Chronic multiscale imaging of neuronal activity in the awake common marmoset.
Yoshiyuki Yamada, Yoshifumi Matsumoto, Norio Okahara & Katsuhiko Mikoshiba
Scientific Reports volume 6, Article number: 35722 (2016)
Cortical State Fluctuations during Sensory Decision Making.
Elina A.K. Jacobs, Nicholas A. Steinmetz, Andrew J. Peters, Matteo Carandini, Kenneth D. Harris
Curr Biol. 2020 Dec 21;30(24):4944-4955.e7.
Cellular and Widefield Imaging of Sound Frequency Organization in Primary and Higher Order Fields of the Mouse Auditory Cortex.
Sandra Romero, Ariel E Hight, Kameron K Clayton, Jennifer Resnik, Ross S Williamson, Kenneth E Hancock, and Daniel B Polley
Cereb Cortex. 2020 Mar; 30(3): 1603–1622.