概要
MiCAM05-N256は膜電位感受性色素、カルシウム色素などの蛍光プローブで染色された生体サンプル内の微弱な蛍光輝度変化を高速で捉え、画像化することのできる世界最高性能の光計測システムです。
高速撮影・高S/N比、直感的な操作方法などの基本性能に加え、高速データ転送による長時間記録、最大4カメラ同期撮影、機能拡張性/外部機器との親和性の向上などの新たな特長が加えられ、これまでには無いイメージングシステムへと進化を遂げました。
主な特長
画素数 | : 256 x 256 - 32 x 32 画素 |
受光面サイズ | : 17.6mm x 17.6mm |
S/N比 | : > 71dB |
接続可能カメラ数 | : 4 |
最大フレームレート | : 1,923fps (256 x 256画素) 5,556fps (128 x 128画素) 20,000fps ( 32 x 32画素) |
アプリケーション
- 膜電位感受性色素を用いた膜電位イメージング
- In Vivo脳サンプルや培養心筋細胞などを用いたカルシウムイメージング
- フラビン蛋白やヘモグロビン由来の内因性蛍光信号イメージング
- FRET, GCaMP, GEVIなど各種蛍光タンパク質を用いたイメージング
- デュアルカメラを用いたレシオイメージング
- 2-4カメラを用いた多アングル撮影
- 通常高速度撮影による微弱な輝度変化の検出
サンプルデータ
MiCAM05-N256を使った脳スライス膜電位イメージング
サンプル | 脳スライス |
方法 | 電気刺激 |
蛍光色素 | 膜電位感受性色素 (Di-4-Anepps) |
イメージングシステム | MiCAM05-N256 |
画素数 | 256x256 |
フレームレート | 1,000fps (1.0msec/frame) |
提供 | 徳島文理大学 神経科学研究所 冨永貴志先生 |
マウスの心房心筋細胞を用いた高速カルシウムイメージング
サンプル | 新たに単離されたマウス心房心筋細胞。 細胞はラミニンでコーティングされたカバーガラス上に播種され、単離と同じ日に使用されました。 |
方法 | 細胞は灌流溶液を通して印加される電場によってペーシングされました。 イメージングは、20X レンズと SPECTRA-X Lumencor 光源を備えた Nikon DIAPHOT 300 顕微鏡で実行されました。 |
蛍光色素 | カルシウム色素 (Fluo-4 AM) |
イメージングシステム | MiCAM05-ULTIMA |
画素数 | 256x256 |
フレームレート | 200fps (5.0msec/frame) |
提供 | Dr. Roman Medvedev and Dr. Alexey Glukhov, Department of Medicine, University of Wisconsin-Madison |
特長: カメラヘッド
ブレインビジョンが独自に設計・開発したCMOSイメージセンサーを搭載したカメラヘッドです。
N256カメラヘッド
大きなセンサーサイズと大きな画素サイズ
- 受光面サイズ: 17.6mm x 17.6mm
- 画素サイズ : 69μm x 69μm
膜電位イメージングなどのアプリケーションでは0.5-1%程度の光の変化量を高速で捉える必要があり、1画素で捉える光の量をできるだけ多くすることがS/N良く撮影する上で重要となります。大きな画素は光を集めやすく、光の微弱な変化を捕捉することができます。
画素数、高フレームレート、高S/N比のバランス
- 画素数: 256x256画素
- 最大フレームレート: 1,818 fps (256x256画素選択時)
- ダイナミックレンジ : 71dB
高速膜電位イメージングにおいて重要な要素であるフレームレート、空間解像度、S/N比の基本性能をバランスよく向上させました。
飽和電子数の切替による広ダイナミックレンジモードと高感度モード
- 広ダイナミックレンジモード(D-mode): 3,000,000電子
- 高感度モード(S-mode) : 600,000電子
計測ソフトウェアからカメラの飽和電子数を切り替えることができ、広ダイナミックレンジモード(D-mode)と高感度モード(S-mode)の2つを使い分けることができます。
蛍光量の多い組織サンプルにはD-mode、蛍光量の少ない単層培養細胞にはS-modeを使用するなど、カメラ1台で多様な生物サンプルに対応することができるようになりました。
飽和電子数はサンプリングレートなどの設定に関係なく固定です。
ROI読出しによる高速フレームレート
プリセットされた部分読出し設定やマルチROI設定が選択可能になり、それに伴いより高速なフレームレートも設定できるようになります。20,000fps@32x32画素のような超高速撮影も可能です。
特長 : プロセッサ
USB3.0による高速データ伝送、ダイレクトレコーディング、長時間撮影
USB3.0インターフェースの採用により、プロセッサからパソコンへのデータ転送が大幅に高速になりました。これによって撮影と同時にデータファイルをHDDやSSDに直接保存することができ、RAM容量の制限を受けず数十分~数時間の長時間記録が可能になります。
おおよその撮影可能フレーム数と撮影可能時間 (1カメラモードで撮影、ディスク書き込みモードで記録)
記録媒体 | 画素数 | フレームレート (fps) | 撮影可能 フレーム数(枚) | 撮影可能時間 (分) |
---|---|---|---|---|
SSD 1TB | 256x256 | 500 | 6,840,000 | 228.0 |
1,000 | 6,840,000 | 114.0 | ||
1,818 | 6,840,000 | 62.7 | ||
128x128 | 500 | 27,360,000 | 912.0 | |
1,000 | 27,360,000 | 456.0 | ||
5,263 | 27,360,000 | 86.6 |
最大で4つのカメラが接続可能、完全同期撮影マルチカメラシステム
MiCAM05プロセッサには2つのカメラインターフェースボードが装着可能です。各カメラインターフェースボードには2つのカメラポートが装備されており、同タイプのカメラヘッドであれば最大4台まで接続できます。これによって多蛍光波長の同時計測や、異なるアングルからの立体撮影なども可能です。
輝度値常時出力機能が標準装備
これまでMiCAM ULTIMAの別売オプションユニット(MiCAM ULTIMA用 DAC/ADC拡張ボックス)で提供されていた輝度値常時出力機能がMiCAM05でも使用できるようになりました。
輝度値常時出力機能とは、モニター画面上の8点の輝度変化を8個のBNC端子から常時出力するもので、これによりデータ計測前後の輝度変化をオシロスコープ等の外部機器上で波形表示することができます。また計測ソフトウェア上で輝度変化をリアルタイムに表示することも可能です。
多波長励起イメージング用LED光源の同期点灯制御 (オプション)
励起波長の異なる複数の蛍光プローブで標識されたサンプルや、2波長励起1波長蛍光プローブを用いたイメージングの場合には、カメラのフレームタイミングと光源の点灯タイミングとを同期させる必要があります。
本機能はMiCAM05から複数のLED光源へ、各フレームタイミングと同期した点灯信号を出力するものです。これによりMiCAM05での撮影とLED点灯を容易に同期させることが可能です。
出力は最大4チャンネルで、各チャンネルから交互に信号が出力されるプリセットパターンが用意されています。市販のパルスジェネレーターなどを用いて点灯パターンを設定する必要はありません。
また、ソフトウェアでパルス遅延時間とパルス幅を指定することができますのでご使用になるLEDの立ち上がり・立ち下がり時間に合わせた細かな設定をすることが可能です。
多様なI/Oコネクタ、外部機器との親和性向上
従来のMiCAMに比べ多くの入出力コネクタが装備されており、画像取得と同期した信号出力や、外部機器からの信号入力に幅広く対応可能です。またカスタムメイドの拡張ユニットを装着できるスロットもあらかじめ用意されておりますので、実験に合わせてシステムを機能拡張することもできます。
光源点灯・出力自動制御
画像取得に同期した光源点灯制御のための出力端子のほか、カメラで捉えた画像の輝度飽和度がソフトウェアで設定した飽和度に近づくように励起光源の明るさを自動調整するための信号出力端子が用意されています。異なる試料でも背景光強度がほぼ均一になり、実験精度が向上します。
その他の特長
特別な設定が不要なターンキーシステム
高速イメージングに特化して設計されたハードウェアとそれを制御する専用計測ソフトウェア、パソコンで構成されています。使用するためには各コンポーネントをケーブルで繋ぐ以外、特別な設定・チューニングは必要ありません。システム導入後その日にデータ取得することも可能です。
プレ/ポストトリガー撮影機能内蔵
外部入力信号に同期してMiCAM05の撮影を開始させることが可能です。信号入力時を撮影開始点とするような撮影はもちろんのこと、信号入力前に起きた現象も撮影可能なプレ/ポストトリガー設定も可能です。
タイムラプス撮影機能
数分~数時間で変化する現象をインターバル撮影します、撮影時のみ照明するため、試料のダメージを最小限に抑え、安定した基線のデータの取得が期待できます。
高解像度カメラ制御機能(オプション機能)
1920x1200画素の高解像度カメラBV-XB1カメラの制御が可能になります。細胞内Ca2+動態やフラビン蛍光、各種FRETイメージングなどに活用できるほか、MiCAM05による生体内高速イメージングと同期した動物行動の撮影などの応用も可能です。
ソフトウェア
計測/解析ソフトウェア BV Workbench
BV Workbenchは、MiCAM05-N256を制御する画像取得ソフトウェアです。 画像の取得と信号の入出力制御に加えて、動画の再生、波形表示、フィルター機能などの解析機能も含まれています。 マウスを使用して簡単に操作できる直感的なユーザーインターフェイスを備えています。
仕様
システム全体 | ||
---|---|---|
品名 | 多機能高速光計測システム MiCAM05-N256 | 多機能高速光計測システム MiCAM05-HR |
品番 | MC05-N256 | MC05-HR |
標準システム構成 | カメラヘッド(1-2)、プロセッサ、ケーブル類、専用コンピュータ、液晶モニター、 計測ソフトウェア、解析ソフトウェア | |
Supported OS | Windows 7/10/11 64bit | |
カメラヘッド部 | ||
品名 | N256カメラ | HRカメラ |
品番 | MC-N256CAM | 02HRCM |
イメージセンサー | オリジナルCMOS | Sony CCD |
画素数(H x V) | 256 x 256 | 380 x 244 |
受光面サイズ(H x V) | 17.6mm x 17.6mm | 6.4mm x 4.8mm |
画素サイズ(H x V) | 69μm x 69μm | 16.8μm x 19.6μm |
シャッターモード | グローバルシャッター | グローバルシャッター |
空間解像度と最大フレームレート (1カメラ接続時) | 1,923fp (256x256画素) 3,125fps (192x192画素) 5,556fps (128x128画素) 20,000fps (32x32画素) | 143fps (380x244画素) 270fps (188x120画素) 455fps (92x60画素) |
量子効率 | 55%@550nm / 50%@600nm | 75%@550nm / 50%@700nm |
飽和電子数 | 3,000,000電子 / 600,000電子(切替式) | 100,000e- (180x120px) / 12,000e- (180x120px, H-bin) |
暗ノイズ | 500電子 / 130電子 | 60電子 (3.7ms,180x120画素) / 20電子 (3.7ms,180x120画素,H-bin) |
レンズマウント | オリジナルM42マウント (オプション:CまたはFマウント) | Cマウント |
インターフェース | 専用カメラケーブル | 専用カメラケーブル |
寸法(WxHxD) | 80mm x 80mm x 50mm | 62mm x 52mm x 46mm |
重量 | 474g | 100g |
プロセッサ部 | ||
品名 | MiCAM05プロセッサ | |
品番 | MC05PRC | |
カメラインターフェース | 1 (最大2) | |
カメラポート | 2 (最大4) | |
拡張ユニット用スロット | 1 | |
内蔵メモリ容量 | 4GB (最大8GB) | |
同期記録用アナログ入力 | 4チャンネル | |
刺激パルス出力 | 2チャンネル | |
外部トリガー信号入力 | 1チャンネル | |
光源点灯制御信号出力 | 1チャンネル | |
フレーム同期信号入出力 | 1チャンネル | |
リアルタイム輝度モニター出力 | 8チャンネル | |
光源制御出力 | 2チャンネル | |
電流出力 | 2チャンネル | |
アクイジションステータス出力 | 1チャンネル | |
トリガー待ちステータス出力 | 1チャンネル | |
デジタルI/Oポート | 1 (25ピン) | |
トリガーモード | ソフトウェア、TTL信号入力、アナログ信号入力、オプションユニット使用 | |
データ転送方式 | USB3.0(画像計測用)/ USB2.0(リアルタイム輝度モニター用) | |
データ記録モード | PCメモリー使用、またはドライブ(SSD/HDD)直接書き込み | |
記録可能最大フレーム数 | 計測設定に依存 | |
電源 | AC100V-230V、50Hz/60Hz 150W | |
ヒューズ | T2A L 250V | |
寸法 | 430mm (W) x 350mm(D) x 75mm(H) | |
重量 | 6.2kg | |
標準/オプション機能 | ||
単発計測 | 標準 | |
長時間計測 | 標準 | |
加算平均計測 | 標準 | |
高速部分読出し | 標準 | |
タイムラプス撮影 | 標準 | |
高解像度カメラ制御 | オプション | |
計測ソフトウェア | 標準 | |
解析ソフトウェア | 標準 |
選択可能画素数 (HxV) | 最大フレームレート(fps) | |||
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NR Mode OFF | NR Mode ON / 2回平均 | NR Mode ON / 4回平均 | ||
256x256 | 全画素読出 | 1,818 | 1,923 | 1,031 |
192x192 | 正方形領域 | 2,941 | 3,125 | 1,695 |
128x128 | 5,263 | 5,556 | 3,333 | |
64x64 | 12,500 | 12,500 | 8,333 | |
256x128 | 横長矩形領域 | 3,333 | 3,448 | 1,887 |
256x64 | 5,882 | 5,555 | 3,226 | |
256x32 | 9,091 | 8,333 | 5,000 | |
128x256 | 縦長矩形領域 | 3,030 | 3,333 | 1,852 |
64x256 | 4,348 | 5,000 | 3,125 | |
32x256 | 5,556 | 7,143 | 4,762 | |
32x32 | 16ブロック | 2,381 | 2,632 | 1,724 |
15ブロック | 2,500 | 2,778 | 1,818 | |
14ブロック | 2,703 | 2,941 | 1,961 | |
13ブロック | 2,857 | 3,125 | 2,083 | |
12ブロック | 3,125 | 3,448 | 2,273 | |
11ブロック | 3,333 | 3,704 | 2,439 | |
10ブロック | 3,704 | 4,000 | 2,703 | |
9ブロック | 4,000 | 4,348 | 2,941 | |
8ブロック | 4,545 | 5,000 | 3,226 | |
7ブロック | 5,000 | 5,556 | 3,704 | |
6ブロック | 5,556 | 6,250 | 4,167 | |
5ブロック | 6,667 | 7,143 | 5,000 | |
4ブロック | 7,692 | 8,333 | 5,882 | |
3ブロック | 10,000 | 11,111 | 7,692 | |
2ブロック | 12,500 | 14,286 | 10,000 | |
1ブロック | 20,000 | 20,000 | 16,667 |