ULTIMUS 9LAB 製品紹介動画

微小な世界を完全に掌握するULTIMUS 9LAB

生命科学研究において、複雑な微小循環系が研究を困難にさせる場合があります。小動物用 超高解像超音波イメージングシステム ULTIMUS 9LABは生命科学分野の研究に新たな方向性をもたらしています。

革新的なURM超解像マイクロイメージング技術により10マイクロメートル以下の精度でのイメージングを実現したULTIMUS 9LABは、2023年の発売開始以来、微小血管を鮮明に観察・解析して生体の複雑な構造を明らかにしています。

この技術革新により、神経系、心血管、腫瘍、腎疾患など、微小血管に関連する疾病の研究に新たな視点がもたらされ、関連分野の科学研究を一層前進させています。

全身への応用が可能な超音波イメージングシステムの代表格であるULTIMUS 9LABは、搭載されたMUSE(ミューズ)ソフトビーム合成プラットフォームと優れた計算能力と多段階の最適化処理アルゴリズムにより様々な臓器や器官への応用にも柔軟に対応することにより、研究者や研究機関に最適なイメージングソリューションを提供します。ULTIMUS 9LABの導入により、超音波画像の品質のみならず、データ解析などの機能が飛躍的に向上することで、全ての実験でより精密かつ効率的な結果が得られます。

ULTIMUS 9LABは、さまざまな研究分野でその卓越した性能を発揮しています。たとえば、頸動脈血栓の研究では、血栓形成の前後でのドプラー画像を捉えることに成功し、血栓の動的な形成過程の理解に貴重なデータを提供しました。また、マウス心臓のイメージングにおいては、正常な心臓から心筋梗塞モデルまで、微細構造および機能評価において優れた性能を示しました。

さらに、マウスの腎臓、小脳、脳卒中、直腸がん、筋組織などの超音波イメージングにおいても優れた成果を挙げており、従来の超音波を超える精密で鮮明な画像を提供することで、研究者が疾病のメカニズムや進行過程をより深く探求する手助けとなっています。

以下は技術応用の実例紹介です。

ULTIMUS 9LABによるマウス各臓器 撮像例

血流解析の革新へ──ULTIMUS 9LABによる頸動脈血栓研究の最前線

近年、微小循環系の研究が進む中で、血栓形成のメカニズム解明における高精度な血流観察技術のニーズが高まっています。こうした研究ニーズに応えるべく、小動物用超高解像超音波イメージングシステム ULTIMUS 9LABは、その最先端のマルチゲート・ドプラー技術により新たな可能性を切り拓いています。

三塩化鉄モデルによる血栓形成の可視化

科学研究における血栓モデルの代表格とされる三塩化鉄(FeCl3)誘導モデルは、動物の血管表面にFeCl3溶液を外用することで、局所的な血管損傷と血栓形成を引き起こす手法です。

従来、超音波装置を用いた血流観察は、血栓形成の前後を異なるタイミングで測定する方法が主流でしたが、この手法では、心拍数の変動や、血管の自然再開通といった生理的変化が観察結果に影響を与えやすく、正確な解析を困難にしていました。

マルチゲート・ドプラーがもたらす新しい診断視点

ULTIMUS 9LABに搭載された最新のマルチゲート・ドプラ技術はこうした課題を一新します。

1回の心拍周期内で最大4か所のサンプルポイントからドプラ血流スペクトルを同時取得することが可能になり、血栓形成のリアルタイムな血流変化を、より精密に、かつ多角的に捉えることができます。

さらに、PW(パルスド・ドプラ)とTD(組織ドプラ)を同期計測する機能により、心室壁の動きと血流の状態を一括で評価できるようになりました。これにより、例えば左室拡張機能障害のような循環器疾患の初期変化を迅速かつ正確に検出できる点も、大きな技術的進歩と言えます。

心筋を超解像で見る──マウス心臓研究におけるULTIMUS 9 LABの挑戦

正常なマウス心臓の超解像画像
心筋梗塞モデルマウスの心臓超解像画像

血流系にマイクロバブルを注入したマウスをの心臓を超解像超音波イメージングすることにより、酸素を含む血液を心筋に供給する微小血管内を流れるマイクロバブルの動きを追跡して心筋の健康状態を評価できます。

この撮影で用いられた手法は、超解像度のイメージング技術である「超音波定位顕微鏡(URM)」に基づいています。ミクロンサイズのマイクロバブルを利用することで、従来の超音波画像の分解能の限界を超え、拍動する心臓においても数百マイクロメートルの空間分解能を実現しています。この解像度により、動いている心臓内で数百マイクロメートル離れた血管を識別することが可能となります。

マウス腎臓

腎臓横断面の超解像画像

従来の腎機能検査では、慢性腎臓病(CKD)の進行に関わる初期の微小循環の変化や腎臓の線維化に対する感度が不十分でした。これらの変化(すなわち、微小血管の減少や組織の線維化)は、多くの場合、腎機能が大きく低下する前からすでに始まっている病理的変化です。

本研究では、新たな非侵襲的な超音波イメージング技術を用いることで、CKDにおける微小循環の変化を早期に診断・モニタリングする可能性が示されました。

超解像超音波イメージング技術(URM)を用いることで、腎臓内の微小血管構造をこれまでにない高精度で観察することが可能になります。このデータは、CKDの早期診断と管理における高度な超音波技術の有用性、特に高解像度化と微小血管評価の重要性を明確に示しています。

マウス脳の血流イメージング

正常なマウス小脳の超解像画像

脳は非常に高い代謝要求を持つ臓器であり、正常な脳血流の維持はその機能にとって極めて重要です。超解像超音波イメージング技術(URM)は、広い脳領域をカバーしつつ高い空間分解能を実現することで、各脳領域の血流状態を正確にモニタリング・マッピングすることが可能です。

正常なマウス脳の超解像画像
左半球に脳卒中を起こしたマウスの脳超解像画像

従来のレーザースペックルイメージング技法では、脳の表層にある微小血管しか捉えることができず、深部の血流状態は把握できません。そのため、多くの研究者が脳卒中モデルを作成する際、表層の血管だけを観察してしまい、結果としてモデルの構築に失敗していたことが、後の組織採取の段階で判明するケースもありました。

一方、URMは脳卒中の早期検出と診断にも有効で、損傷した微小血管の血流を識別・定量化することによって、脳卒中の重症度や回復状況を評価する助けとなります。

マウス直腸癌

直腸癌縦断面の2D画像
直腸癌縦断面の超解像画像
直腸癌横断面の2D画像
直腸癌横断面の超解像画像

血管新生は、腫瘍において非常に重要な早期の生理学的マーカーです。超解像超音波イメージング技術(URM)により、高解像度で腫瘍内の微小血管の血流変化を検出・定量化することが可能になり、腫瘍の早期発見や同定、あるいは腫瘍の発生部位を予測することが可能になります。

さらに、URMは腫瘍治療が微小血管に与える影響をモニタリングするためにも使用でき、治療効果の評価と研究計画のタイムリーな調整に貢献します。

定期的に腫瘍内の微小血管の変化を(非侵襲的かつ損傷を与えずに)イメージングすることで、腫瘍の質に関する実験的な結果が経時的に得られます。また、腫瘍内の微小血管構造と血流パターンを詳細に観察することにより、腫瘍の発生メカニズムや変化をより深く把握できます。

マウス大腿部

大腿部の縦断面の超解像画像
大腿部の横断面の超解像画像

従来の超音波技術では、解像度の制約から股動脈や股静脈の血流変化しか評価することができませんでした。

しかし、糖尿病などによって引き起こされる血管疾患、特に糖尿病足症のような疾患では、下肢の大血管や微小血管の病変によって動脈の灌流不足が引き起こされ、最終的には足部の感染症、潰瘍、または深刻な組織の損傷を招くことがあります。

URMは、従来の超音波技術が持つ回折限界を打破し、まったく新しい視点で微小血管を可視化します。この新しい技術により、研究者は糖尿病によって引き起こされる糖尿病性足病変の状態をより直感的に理解できるようになりました。

小動物用 高解像度エコー ULTIMUS 9LAB

ULTIMUS 9LABは小動物専用の超高速・高解像度の超音波イメージング装置です。 深い観察深度と高空間分解能を同時に満たし、数ミクロンレベルの微小血管すら可視化できる点が大きな特長です。腫瘍、神経疾患、脈管、血管プラーク、冠動脈系、腎疾患、細胞薬物研究、脳機能イメージング、薬効評価など、微小血管が関連する様々な研究に活用できます。