弔辞

松本元さんは、僕にとって心おきなく話が出来る数少ない友人の1人でした。

 理研を訪問した時には、彼の部屋に予告もなく立ち寄るのですが、いつも大手を広げて迎えてくれて、お互いの近況ばかりでなく、人間の脳や心について、また、世界や人生について、時には愚直なまでに真面目に、また時にはユーモアと冗談を交えて話し合ったものです。

 そんな時いつも元さんの研究者としての優れた開拓精神と、1人の人間としての溢るるばかりの愛情に、強い感銘を受けてきました。元さんと知り合って友達になったのは、ここ10年来の比較的最近の事で、こんなに早く亡くなるなんて、本当に悔しく残念なことです。また1人かけがえのない友人が逝ってしまったという思いを強くしています。

 奥様はじめ、御家族の皆様には、心よりお悔やみを申し上げます。

                                   平成15年 3月10日  
                     利根川 進